機関誌あゆみNo.9 [R4.7.6]
![]() | ![]() | 「日新又日新」松村謙三 (日々新しい気持ちで、ゆっくりじっくり、常に笑顔で歩んでいきましょう。) |
農福商(笑)の連携
![]() 由利本荘市新田の畑地にさつまいも苗植え |
今年6月6日の午前、由利本荘市新田地区にある新田水稲生産組合の畑。
そこにあゆみの会の利用者たちがサツマイモの苗120本を植えた。事前にトラクターで起こし、畝立機で畝を作り、その上に「白神ブナの力」という土壌浄化剤を捲いた。
これは世界自然遺産「白神山地」で発見された「白神こだま酵母」を当組合工場の特殊なコンポストに米糠を混ぜて発酵させたもので、肥料にもなる。
「白神ブナの力」は、企業組合農藝舎が開発した新商品。これを土壌浄化剤として農薬、化学肥料を一切使わず、白神ブナ農法として実践中である。
令和元年11月、中山間地にある新田水稲生産組合のビニールハウス2棟が雪にやられてペチャンコになった。
そこで翌月9月。比較的雪の少ない岩谷向山地区に芦だらけの耕作放棄地2反歩を借りた。
TOKIOの城島社長ほど上手くはないが、ユンボで芦や茅、それにセイダカアワダチソウを取り除く。トラクターで起こしたら、砂利やコンクリートの塊をロータリーが引っ掻きガリガリと音を立てる。まさに悪戦苦闘。
その一角に80坪のビニールハウスを建てた。「あゆみハウス」と命名。
中に大量の腐葉土を入れ、植物性バイオ製剤である「白神ブナの力」を捲いた。土中に芦の根がはびこり、石コロだらけの土壌を畝立機で起こす。
知り合いの農家から畑にするには3年かかるといわれた。
その年の11月始め。試しに畝間にアスパラ菜の種をばら撒いた。翌3月ロシアに蜂蜜と大豆を買いに行って帰ってきてあゆみハウスを見に行く。
ビニールハウス内が一面黄色。菜の花畑になっていた。
2年目の春。畝立機で畝4列をつくり、小豆、トマト、金沢の伝統野菜「加賀太キュウリ」の種を捲く。夏。近くの園児たちとトマトの収穫まつりを開催。
大きな加賀太キュウリがなった。皮が少々苦いが結構いける。めんこいな市場に出すと珍しさもあってか売れた。
3年もの春は農福連携班長が年間栽培計画を立て本格的に始動。
![]() あゆみビニールハウス、巨大向日葵、野菜8種類栽培 |
白神ブナ農法が徐々に効いてきた。
あゆみハウス内の向日葵、菊芋が巨大化して、天井まで伸びそう。
トマト、なす、インゲン、小豆、カボチャ、パプリカ等8種類の野菜を植える。
収穫野菜に白神ブナ農法のシールを貼り、めんこいな市場に出している。売上は即利用者の工賃に反映される。
秋田市中通のなかいち秋田銘品館にこの4月から企業組合農藝舎コーナーを開設。利用者の刺し子作品と組子の作品を展示販売中である。
![]() 農藝舎コーナー (秋田市なかいち秋田銘品館) |
これは、3年前から始めた「物作り実践講座」を開設し、利用者の潜在能力を発揮してもらった結果である。
まだまだ発達途上だが、物の価値である用(役立つ)・強(長持ち)・美(美しい)を満たした商品化となる。売れると利用者の仕事甲斐となり、工賃向上にも繋がる。農福商連携の商は笑売になる。
何よりも、利用者たちの笑顔が増えたのが嬉しい。